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父権知性の崩落

12/13/2019

 
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みなさん知ってた?男の子を育てているのは、ほとんどの場合母親だ。僕の家は使用人が子育てをしていたから、全然知らなかった。現代では、子供のソフトスキル(リーダーシップ・コミュニケーション・好奇心・全般的学習能力、など)の多くは、第一次の養育者である母親から受け継がれると広く知られるようになってきた。だけど、果たして受け継がれるものはそれだけなのだろうか。今回は、日本における空想的な男女平等が子育てに何をもたらしたのかを考えて行こう。

日本の知的構造は男性社会に著しく偏って存在している。日本が父権的な男性社会であり続けた限り、この旧来の構造は在る前提を条件として知性ある男子を育てるのに有効だった。ある前提とは、男子教育の徹底だ。つまり、女性であっても男性の美学を身に着けることが、善いこととされることが父権社会の繁栄の条件だったのだ。しかし、現代では、形式ばかりの男女平等が推し続けられた結果、性差の力関係は限りなく均衡へと近づいている。しかし、この仮想の均衡は日本の女性が知性を獲得した結果行われた性格差の是正ではなく、アメリカや西ヨーロッパを範として儀礼的に導入された男女平等の結果に過ぎないのだ。つまり、知性の力関係で言えば、未だ日本は著しく男性社会を中心とした知力を生み出す構造に依存している。今日の日本で知性を産出するのは、未だに男性性の構造なんだ。

なぜここで仮想の男女平等の中に存在する第一次養育者としての母親が問題視されるかと言えば、社会構造の本質的変化を伴わないまま"性権力"の移譲がなされているからなんだ。つまり、知の産出が男性社会にある場合、そのフレームに沿った教育を計画しなければ、知性の総産出量は落ちていくことだろう。男性性を肯定しなければ、男性性に基づいた知の構造は再生産されないんだ。現状の日本において、旧来の父権的美徳を克服したものは、女性が知性の舞台に立ったという事実ではなく、単なる法や道徳上の制度的な移り変わりに過ぎない。日本には、女性が自らして知に目覚めたという時代がないんだ。受け身で自律的な思考のできないものに権力だけを委譲し、男子の子育てを任せたとすれば、なぜ現況の社会には安い利己主義が蔓延するかの説明が付く。母親が男性性を範としないならば、当然理想的な男性は作られないということだ。そして、社会から男性性に依る特権的な力は失われる。

闘技・競技・秩序を基にした、知を生み出す構造は壊れつつある。父権社会での男子教育のテーマは、健康、徳育、知育でした。一方で、女子教育のテーマは、貞節、寡黙、従順だった。では、現状はどうだろうか。おそらく、健康、元気、従順が、テーマとなっていることだろう。なぜならば、教育における男性性を除去した代わりとなる、別の軸がその社会的に醸成されていないからだ。つまり、女性共同体を中心とした知の第二勢力が日本語圏には組み上がっていない。しかし、女性性のみを対等に取り扱うということをすれば、水は低きに流れていく。鍛錬を美徳する素質が日本の女性社会では失われて久しいんだ。そうなら、徳育や知育のような未来に資する手間のかかることは抜きして、目先の健康と元気と従順とを備える子ども像を理想としようとしても、何らおかしいところはない。ほとんどの母親たちは代わりとなる知の権力を構成せずに、男性社会の知的構造を弱体化させる手助けをしていることになる。

平等というものは、力の平等があって初めて達成される。力の平等なく、儀礼的な対等を造り出せば、持つ側が持たざる側に対して無条件の資源の供出を迫られる。これが、現状われわれが目にする安い利己主義の蔓延だ。自分だけが得をすれば、それでよいという考え方だ。男性性にまつわるものを切り出して、女性に提供を続けたとしても、力の平等は生まれない。女性が自らの力で這い上がり、育つことを待つ必要がある。そして、知性というものは、性差を超えて尊ばれなければ、利発な子供を育てるとはなかなかいかないもんだ。知恵とは、階級を超えて話をするための唯一の道具であることを、知らなければならない。そして、それを知らぬ女性で日本は溢れかえっているじゃないか。

どういう母親を計画するかという事は、こと知と言う側面において社会全体を揺るがすことになりかねないんだ。もっと子育ての怖さを知った方がいいと思うよ。





Reference:
Michel Foucault. "Discipline and Punish"
Rima Apple. "Perfect Motherhood: Science and Childrearing in America"
James J. Heckman. "Hard Evidence on Soft Skills"

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