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"僕なら、ジユーを選ぶよ"

[オリバーの自由帳]

僕と着物

5/21/2020

 
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実は、僕は着物を持っている。

もちろん僕が買ったわけではなく、日本にいる祖母の趣味というか、趣味だろうね。趣味でよく、僕の着物を作りにつれていったものだった。祖母は古風というよりもパリピ気質で、節目節目で大きなパーティをやらないと気が済まない性格なのだと思う。それで着れなくなったものを含めると、正絹の羽織袴は全部で4セットある。

僕は4人目で生まれた待望の男子だったので、それはもう王子様のような生活を日本ではしていた。僕は身の回りのことは何でも自分で出来たのだけど、何もやらせてはもらえなかった。祖母の家では、お茶碗一枚自分で運ぶことをしたことがない。男の子がやることをやりなさいというのが、祖母の無言の言い分だった。現代、こういう子どもの育て方を非難する人は多いと思うけれど、男というものは男になるように育てなければ育たないものだ。

祖母の家では、僕は本を買ってもらって読んだりして過ごした。この中学生時代によく読んだのがフロイトの"精神分析学入門"とユングの"分析心理学"で、現在僕がやっている記事作成の基礎になっている。それ以外は、瞑想やタオイズムなどの超越論、ディケンズなどのイギリス文学、それから日本文学は夏目漱石を読んだ。アリストテレスの"弁論術"に触れたのもこの時期だった。科学雑誌のニュートンとScientific Americanが好きで、毎号買ってもらっていた。

祖母とはうって変わって、僕の家族は良くも悪くもアメリカ的個人主義で、子どもは何をしようがお構いなしだった。アメリカだけでなく西ヨーロッパでもそうだけど、子どもの自主性に親が口出しをするのは避けるべきこととされている。なぜなら、子どもは別の一人の人間だからだ。だけど、ヨーロッパの学校に進学する時に、日本の祖母だけは反対で、それでも目に涙を溜めながら見送ってくれたのは記憶に残っている。

開けていない荷物の中に着物は眠っている。ヨーロッパでは、どこにも着てはいけないからね。代わりに、祖母と一緒に行った野球観戦の帰りに買ってもらったベースボール・ジャケットの方を、今は愛用している。

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