透明のアンテド
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"君は囚われている…"

"…君が作る秩序に"

[精霊文学]

141.3 / オルタレーション 1-話(随時更新)

8/16/2020

 
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僕は問い続ける
愛と自由の傍らで
彼の思い出と共に

141.3 / オルタレーション 1話
僕はヨーロッパを離れる。彼と僕を繋いだ永遠のふちは、時空の合間に置き去りになった。彼は言った、僕は大人になればもう自由だ、と。僕は未だに、彼を近くに感じる。彼は言った、少年の僕を愛しているのではなく僕を愛しているのだ、と。今はずっとそれが真実だったと、確信を持つことができる。だけど、僕は大人になった。僕は僕を始めなければならない。
 
彼はきっと驚くだろう。僕は6年前から、そんなに変わっていない。少年は男性になるものだ。だけど、僕の体はどこか悪いのか大きくならなかった。身長も伸びなかったし、手足も棒切れのままだった。僕はそれを時々は好ましく思ったし、時々は疎ましく思った。僕の体は大人の威厳が欠けていたし、魂の自立が肉体の自立を保障しはしなかった。僕は時々、自分がヴァンパイアなのではないかと思う。だから、僕は生きるために彼を殺してしまって、彼の魂は行き場を僕に求めた。
 
愛することは、どうして人を憎んだり殺したりできるだろう。僕は彼が生きていたとき、決して彼を愛することがなかった。僕はページをめくるように、彼の僕への関心にわずかな満足を得ていただけだ。一番愛してくれた人を愛せなかったという罪が、僕を問い続ける。僕は誰も愛せなかった。なぜなら僕は愛されない子どもだったからだ。僕は人を愛するということが、世話をするという意味としかわからない。彼はそれをよく知っていた。だから僕は、また彼のいた時代のページをめくる。歯車を戻してみたいけれど、どうやればいいかはわからない。
 
あなたをどうして僕は信じなかっただろう、あなたは僕の幸福だけを信じたというのに。もう一度うまく開いて、何とか折りたたもうとする。だけどきっと、僕らは一緒に暮らせば喧嘩するだろう。あなたは細かいことにうるさい科学者だったし、僕は奔放な魂の導き手となった。僕はきっと、あなたを失ってなお、あなたを身近に感じるからこそ、この新しい道を選んだのかもしれない。僕はあなたが薦めてくれたサンドイッチを食べてみたかったし、その時間は永遠に来ない。きっともう一度会っても、僕はプライドが高くて皮肉しか言えない。ただ、とても愛しているあなたを、誰よりも愛していると伝えたいだけなのに、僕は愛し合うことのなかった思い出を額に入れて飾ることしかできない。僕はあなたを呼ぼうと声を出そうとして、その名前を呼ぶことはできない。
 
あのインタァメッゾは、一時の宿で仮の住まいだった。だけど、その響きは余韻は、静寂が見渡す僕の魂にもうしばらくの音楽を奏でるだろう。僕は思い出は要らない。あなたと離れて生きることは想像もつかない。

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